サイクリングガイドとは

サイクリングガイドとは

サイクリングガイドの必要性とその役割


近年、スポーツツーリズムの1ジャンルとしてサイクリングが注目されています。特に、北海道や沖縄、広島と愛媛を結ぶ「しまなみ海道」、琵琶湖を周回する「ビワイチ」などのサイクリング好適地には、日本国内はもとより海外からも多数のサイクリストが訪れています。また、2020年の東京オリンピックを筆頭に、多くの外国人が日本を訪れる時代を迎えており、移動や観光の手段に自転車を利用する外国人のさらなる増加も見込まれます。

こうした情勢下で、サイクリングを楽しみたい国内外の方々をお迎えし、安全・安心で楽しいサイクリングのサポート業務を担う専門家。それが「サイクリングガイド」です。

自転車は、手軽な移動手段であると同時に、趣味性の強いスポーツ機材でもあり、さらには法律上の車両として義務や責任を伴いつつ、公道を比較的高速で走行することによる根源的なリスクも内包します。また、集団でのサイクリングとなれば、ふだん1台で走っているときには想像もできないようなリスクも発生しますし、知らない土地を走れば道に迷うことも多く、ミスコースで時間を失ったせいで気持ちに焦りが生じれば、それがトラブルの引き金にもなります。体格や体力に合わない自転車なら無用な疲労や身体の痛みなどを引き起こしますし、整備不良などによる自転車の不具合が重大事故につながることも少なくありません。

したがって、安全・安心で楽しいサイクリングのためには、スポーツとしての自転車の扱い方はもちろん、アウトドアスポーツとしての様々なリスクと準備、歩行者・自転車・自動車すべてに関わる交通法規、そして法規解釈のグレーゾーンも含む公道での実践的な走り方など、他のスポーツや遊びとは桁違いともいえる広範な知識と経験が求められます。

「自転車は誰でも乗れるものだから、道さえ知っていればガイドなんて誰でもできる」。そのように考えるサイクリング関係者もいますし、そんな性善説が通用する安全な交通環境が理想ではありますが、残念ながら現時点における我が国の自転車事情は、誰もが安心してサイクリングを楽しめるような理想的な状況ではありません。だからこそ、その不足分を適切に補い、サイクリングの楽しさを高めてくれる存在が必要です。

このような自転車の特殊性を理解し、サイクリングの現場で「安全・安心・楽しさ」の3要素を最適配分することが、日本におけるサイクリングガイドの役割だと考えています。

サイクリングガイドの基本型


私たちが考えるサイクリングガイドの基本型とは、「スポーツ自転車 x 一般公道 x 自転車に乗れる健康なお客様」という条件範囲のサイクリングを安全に引率できる管理者です。

まず自転車については、いわゆるママちゃりでもサイクリングは可能ですが、スポーツサイクルを熟知すればママチャリも概ね問題なく扱えるため、大は小を兼ねるということでスポーツサイクルとしています。一般公道とはつまりクルマや歩行者など他の交通者がいる場所であり、すべてに交通法規など場所固有のルールが関わってきます。そして決して疎かにできないのがお客様。乗る自転車と走る場所だけで語られることの多いサイクリングですが、重要なのは「誰が乗るのか」ということで、初心者-中級者-上級者-プロといった自転車スキル、年齢・性別・運動経験・生活習慣・体調・障害などによる人的要素、そして土地鑑や交通法規理解などの社会的要素など、お客様全員が違うということを意識すべきです。

サイクリングガイドは、こうした様々な要素のすべての意味を理解し、サイクリングの計画から実施まで、対価をいただくプロフェッショナルとして行動すべき存在なのです。

JCGAサイクリングガイドになるには


誰でも“自称”サイクリングガイドにはなれますが、サイクリングの現場で適切な対応ができているサイクリングガイドはまだまだ少なく、その多くは単なる道案内のレベルか、ややもすると危険な先行者というレベルの自称ガイドもいます。しかも、残念なことにそれらはアマチュアではなく、ツアーを募集して対価を得る事業者でもそんなレベルというのがわが国の現状です。

わが国では自転車は誰でも乗れるものとされており、サイクリングを引率して対価を得るという発想など一般的には皆無で、サイクリングガイドという役割も、2000年代になって生まれた観光立国という概念とインバウンド需要の顕在化によっていわば外圧的に生み出された、とても歴史の浅いジャンルです。したがって、私たちJCGAのサイクリングガイドも含めて業界全体が過渡期でまだまだ発展途上にあります。

誰もが発展途上の現況下で私たちが重要視しているのは、個々が日々のサイクリングを通じてサイクリングガイドとしての資質を高めていくための基本的な考え方と正しい技術です。基本的な約束事が共有できていなければ、どんなに経験を積んでも自己流の小さい山が乱立するだけで、まとまった集合知とはなり得ません。むしろ、現場に入る前に正しいことを知っておくことで上達スピードは何倍にもなります。これはゴルフやスキーなどで初期に自己流で練習した人がずっと伸び悩むのと同じ構造です。

JCGAの講習や技術体系はある程度ハイレベルではありますが、それでもサイクリングガイドを目指す意識がある方にとっては必ず糧になるはずですので、ぜひJCGAにご入会いただき講習に参加いただければと思います。

マインド面
(1)サイクリングが大好きで、生涯サイクリストとして自転車に関わっていく意思がある。
(2)仲間と走るときにはソロで走るときにはない協調や譲歩が必要なことを心で受け入れることができる。
(3)お客様が主役、ガイド自身は脇役というサービス業者としての立ち位置を理解できる。
(4)上級サイクリスト=サイクリングガイドでは無い、という意味を頭ではなく心で理解できる。
(5)サイクリストとしての自己顕示欲を自覚し、ガイド執務中にそれを封印する重要性を理解できる。

技術面
(1)スポーツ自転車の正しい扱い方を出来る限り幅広く体得する。
(2)ソロで走るだけでなく、5名〜10名程度のグループサイクリングを日常的に行う。
(3)グループ内でのリーダー的な役割を他のメンバーから認められる。
(4)JCGAサイクリングガイド講習会で得た知見を日々のサイクリングで実践する。

制度面
(1)JCGAの賛助会員として登録する。
(2)全国各地で実施されるJCGAサイクリングガイド講習会に参加する。
(3)講習会の最終日に実施される認定会や検定会でJCGAクラス認定を受ける。
(4)正会員にはサイクリングガイド補助員等の委嘱があるので現場で経験を積む。
(5)JCGAクラスに関わらず各種研修に参加することで知見を深める。

サイクリングガイド クラス認定

JCGAは2015年の発足以来、公益財団法人日本サイクリング協会(JCA)と協調して、まずは上級サイクリスト向けのサイクリングガイド講習と、国内のサイクルツーリズムの第一線で活躍する現業サイクリングガイドの認定を主題に取り組んでまいりました。その結果、現在までに約60名の「JCA公認サイクリングガイド」を輩出し、日本のサイクルツーリズムの底上げに寄与しております。

一方、「JCA公認サイクリングガイド」は必然的にスポーツサイクリングのガイドツアー現場での経験と上級サイクリストとしての能力を想定した資格制度となったため、これからサイクリングガイドを目指す一般のサイクリストにとってはハードルが高いという側面もありました。

そこで2019年度、これまでJCGAが各地で開催したきたサイクリングガイド講習会での知見をもとに、サイクリングガイドを目指す一般サイクリスト向けの育成プログラムと、サイクリングガイドとしての能力や経験を段階的に評価する「JCGA サイクリングガイド クラス認定」を新設。今後はより幅広い層に向けて講習および検定を実施してまいります。